2014年8月24日日曜日

「野菜に育ててもらおう」。大江戸野菜研究会・阿部さんから、秋に向けてのアドバイス

昨日は大江戸野菜研究会の阿部さんに来ていただき、
秋に向けてのアドバイスをいただきました。

阿部さんはまず、
屋上の畑を見回して市民農園の楽しみ方を話してくださいました。

少量多品種の農業を実践できる


戦後、日本の農業は農協の指導のもと、
コストを下げるための
単一生産が中心になっていきました。
農協が地域ごとに作物を決め、種を売り、
作物を買い取るという仕組みです。

商売としての農業はそうしたかたちで
多様性が失われていったのですが、
市民農園はコストを気にせず
野菜づくりを楽しむことができます。
日本古来からの、四季の変化を生かした
少量多品種の農業を実践できるのです。

つくったあとの楽しみが広がる


ただつくるだけではなく、
作物をつくったあとの料理なんかを考えながら、
一年の農作業を計画してみるのもいいかも知れません。
例えば、辛味大根をつくって、
江戸時代の食べ方で蕎麦を楽しむとか、
ごま塩のふりかけをつくるとか。
そういう、収穫の後の楽しみをつくると、
土いじりもより楽しくなります。

さまざまな植物から生き方を学べる


収穫したものはすべて食べるようにしましょう。
小さいものや、形の変わったものも、
それを生かした使い方があるはず。
間引きした苗なんかも、工夫すれば食べられます。
野菜づくりを通して、無駄のない
ライフスタイルを子どもに伝える機会をつくってほしい。

野菜づくりでは、そのプロセスを通して
植物それぞれの生き様を体験を通して学んでほしい。
それぞれの個性に合わせて育てていくことが大切。
植物は、どんな個性も尊重して
つきあっていくことの大切さを教えてくれる。


そして、秋の野菜づくりのための
「太陽熱消毒」について教えてくださいました。

土の太陽熱消毒

土の中には、バクテリアやカビ、
微生物などがたくさん生きている。
その中でもカビは、植物の病因の
7割を占めるので注意をしなければならない。

<ビニール袋をつかった太陽熱消毒の方法>

1.肥料を混ぜた土をビニール袋に入れる
 (肥料の量は1平米あたり300〜500gが理想)
 土に石灰を混ぜるのもいい
2.土にしみわたるくらい水をたっぷり入れる
3.少し隙間を開けるくらいで袋を閉じ、
 夏なら3週間くらい太陽の光が当たるところに置いておく。
 すると水が熱湯になって、カビが死ぬ
4.そのあと2週間くらい土を置いておくと、
 微生物が育ってくので、野菜づくりに使えるようになる

※土の量が多いところなどは、畝をつくってその土を
水で浸し、ビニールをかけてふさぐと同様の効果がある。
畝を水で浸すときは、穴をあけてそこに水を注ぎ込むと効果的
































有機農業は、有機分を微生物の力で分解し、
土の栄養にする農業のやり方。
つまり、野菜と微生物を両方育てるのが有機。

有機は土づくりにも時間がかかるので、
年間を通して計画的に運営してかないといけない。


屋上やベランダで根物を育てる方法


冬においしい大根を、
土の少ない屋上菜園で育てる方法も教えてもらいました。
これは、ベランダなどでも応用できるのではないでしょうか。

1.土や肥料の袋などの四隅と真ん中に穴をあける。
 四隅の穴に支柱を通し、土に立てる。すると、
 袋が、底が深いプランターになる。

2.そこに土を入れ、十字をイメージして、
 真ん中と上下左右に5センチくらいの間隔を空けて
 5つの種を植える。

3.芽が伸びてきたら、
 2つ間引いて3つを育てていく。
 最後は、いちばん伸びそうな1つだけに
 間引いて育てていく。

ちなみに、
大根は連作するほど甘くなるそうです。





















そしてその次は、
まだ収穫が見込めそうなナスとトマトの剪定。

夏の盛りを過ぎた後の、ナスとトマトの剪定


ナスはうまくやれば10月くらいまで実ができるそうです。

実をとったら、そこから下くらいに生えている
わき芽の近くで茎を切る。
ある程度茎を切ったら、次は根。
茎を切った下あたりを円を描くようにスコップを
グサリグサリと土に刺し、根っこを切っていく。
切ったら、土に栄養を与えるために肥料をまく。

トマトも花がついている限り実をつけるので、
花がついている茎は残して、あとは切るようにする。

















そして、畑のそばにある芝生エリアにも注目されました。
実は芝生エリアは手入れがあまりされておらず、
芝生が枯れてしまったところに雑草が生えまくり、
雑草園のようになってしまっていました。

阿部さんはその様子を見て、下手に芝生をやり直すのではなく、
このまま雑草ランドにする方が子どもたちの教育のためにも
いいかも知れないとおっしゃいます。

雑草ランド構想

雑草にもさまざまなものがあり、
それぞれの場所を縄張りのようにして生えている。
「なんでこんなところに草が生えているのか?」
「なんでこんな形をしているのか?」
など、子どもたちに調べさせてみるのはどうか。
「雑草マップ」などをつくればさらに興味が高まる。

雑草は、人に頼らず、自分の個性を生かして
たくましく生きて行くすべを教えてくれるので、
興味を持って学んでみるとためになる。

芝生が枯れて、雑草も生えないようなところには
土を盛ってハーブ類を植えるといい。
ハーブも雑草みたいなものなので、簡単に生える。

雑草エリアは天敵のすみかでもあるので、
野菜づくりを助けてくれるのである程度残したほうがいい。

芝生は植えっぱなしではダメ。
草刈りや雑草抜きなどをマメにやらないと
荒れるし、枯れる。それができないのであれば
芝生を新たに植えても同じことを繰り返すだけ。
今の環境を生かすことも考えてほしい。





















野菜はもちろん、雑草とのつきあい方も
学べた、とても有意義な時間でした。
これから四日野ガーデンは、
野菜を育て、野菜に学ぶ場にしてこうと
気持ちを新たにしました。